門別競馬場ガイド

競馬用語集

は行

配当金(はいとうきん)
的中した馬券(勝馬投票券)に払い戻しされるお金のこと。単に配当ということもある。
馬格(ばかく)
馬の大きさを表す言葉で、「馬格がある」といえば、骨格が大きく外見大型馬ということ。馬体重でいえば480kgを超すくらいの馬をいう。また「馬格がない」といえば小柄な馬のことを指す。
馬鹿つく(ばかつく)
「馬鹿っ気を出す」ともいわれるが、鞍上の意のままにならずレース中に大きく外にふくれたり、走路外に逸走したり、また急激に止まったりすることをいう。また、こういう行為を頻繁にする馬のことを“馬鹿つき馬”といっている。
歯がわり
馬の歯は切歯、犬歯、臼歯からなるが牝馬には通常犬歯がない。人間と同じで乳歯が永久歯に抜け替わることを“歯がわり”というが、3歳から5歳の間に替わる。3歳春はこの歯がわりの時期になり、クラシックシーズンになると厩舎関係者の話の中に「歯がわりで……」と言われることが多い。それはカイ食いが悪くなるためで、馬によっては能力に大きく影響することもある。
拍車(はくしゃ)
馬具のひとつで、長靴のかかとに取り付けて馬の腹に刺激を与えるもの。モンキー乗りが主流の今の競馬では拍車を着けて乗ることは少なくなっているが、天神乗りの時代は拍車を着けることも多く、とくにずぶい馬には効き目もあった。一般用語でも刺激や力を加えて仕事の進行を促進させることを「拍車をかける」というが、競馬の社会でもここ一番の勝負のとき拍車を着けたことから、勝負態勢に入ったとき「拍車がかかった」などという言葉を使っていた。
白斑(はくはん)
主に頭部(額や鼻面)と脚に現れる白い毛色。これら白斑は個々の馬の著しい特徴になることから、血統登録証書にも詳しく記載される。
馬券(ばけん)
勝馬投票券のこと。現在中央競馬では単勝式、複勝式、枠番連勝複式、馬番連勝複式の4種類の馬券が発売されている。地方競馬の一部ではこの他に枠番連勝単式、馬番連勝単式などの馬券も発売されている。
跛行(はこう)
びっこを引いて歩くことで、歩様に異常をきたしてることをいう。負重するときに疼痛を示す(肢桂跛行)、挙楊時および前進時に疼痛を示す(懸垂跛行)、その両方が混在する(混合跛行)などがある。跛行の原因としては、骨、腱、関節、筋肉、神経などの異常が考えられる。原因がはっきりしない場合は、原因があると推測される部位により肩跛行、寛跛行と呼ばれることもある。
馬体重(ばたいじゅう)
馬の体重のこと。競馬の当日各馬の体重は発走の1時間30分前に、装鞍所において係員の前で量られ、この計量は下見所(パドック)や場内およびウインズのテレビなどで発表される。中央競馬では昭和39年から公式に発表されるようになった。現在中央競馬では2kg単位で量られているが、公営競馬では1kg単位で量られている。仕上がり具合を見る上でひとつの目安になるので気にする人も多いが、極端な増減がなければ気にしない方がよいようだ。
肌馬(はだうま)
繁殖用牝馬のこと。厩舎関係者の間では「この馬の肌は…」と使われることも多く、単に“肌(はだ)”というのも同じである。
バックストレッチ
向正面のこと。ホームストレッチ(スタンド前の直線)に対して使われている言葉。
発走除外(はっそうじょがい)
馬場に出てきてから事故を起こしたり、ゲートにどうしても入らなかったり、また発走前に暴れて馬体(脚部)に外傷などを負い能力を十分に発揮できないと発走委員がみとめた時にレースから除外されることをいう。装鞍所から出る前に馬の異常が発見され除外される場合は“競走除外”という。除外の扱いを受けた場合、その馬の単勝式、複勝式並び馬番連勝式の馬券は払い戻しされる。枠番連勝式の馬券については1頭1枠ならすべて払い戻しされるが、2頭の場合はゾロ目だけしか払い戻しとならない。また同じ枠に3頭いる場合は1頭が除外されても払い戻しはない。
パット
PAT方式といわれる電話投票のこと。日本中央競馬会とPAT方式電話投票に関する約定を結んだ加入者が、ファミコン、パソコンなどの端末機により電話回線を使って競馬会のコンピュータに接続し、馬券の購入が出来る電話投票システムである。また情報サーブセンターから(1)開催案内(当日開催される各競馬場の天候、馬場状態)(2)出馬表(3)オッズ(4)払い戻し(5)変更情報(出走取り消しなど)(6)お知らせ(7)馬体重(8)競走成績の情報が一定時間内において受けられるようになっている。
発情(はつじょう)
繁殖牝馬が種付けできるときの状態で、発情はだいたい3週間目ごとに周期的にやってくる。発情時期でないと種付けを受け付けないため、発情の有無ははじめ当て馬によって調べ、発情期にあると見れば獣医師の診断を受け確認した上で種付けを行う。発情期間は一般に5日から7日間ぐらい続く。
発馬(はつば)
スタートのこと。厩舎関係者の間ではデッパともいう。またスタート時に馬が入る機具を「発馬機」といい、電動式で前扉が開くように出来ており、出走馬がスターターの合図で一斉にスタートが切れるように考案されたものである。
バテる
力走の末レースの終わりで力尽きていっぺんにスピードが衰える状態。オーバーペースで逃げた馬などによく見られる現象で、最後の100mぐらいで大きく着順を下げたりする。
パドック
下見所の項参照。牧場などでは1頭の馬を囲って放牧する地域のこともパドックと呼んでいる。
パトロールフィルム
レースの模様を各コーナーにある監視塔(パトロールタワー)からフィルムで撮影したもの。騎手は他馬を妨害することなく全能力を発揮して競走を行い、ゴールインしなければならないと定められており、馬の能力が発揮され、競走中インターフェア(妨害)があったかどうか、騎手の騎乗ぶりはどうかなどを監視するのが走路監視員で、彼らがいる所が監視塔である。パトロールフィルムは短時間で現像され、進路妨害などがあったと思われるとき参考とされる。競馬は全レースパトロールフィルムが撮影されている。
ハナ
「ハナを切る」とか「ハナに立つ」と使われるようにレース上での先頭という意味。先行力のある馬を「ハナっ速い馬」という。また着差を表すハナは一番小さい着差で「ハナ差」とか「ハナの差」といい、写真判定になることが多い。
鼻ねじ(はなねじ)
鼻捻棒のこと。ゲート入りの悪い馬などには鼻捻棒を使い、鼻の先をねじ上げる。このことを「鼻ねじをかける」というが、鼻は馬を押さえる急所であり、たいがいの馬はこれをかけられると簡単に反抗しなくなる。ゲート入りに関しての補助手段としてはこの鼻ねじの他に耳ねじ、尾まわし(平打綱)などがある。また鼻ねじは種付けの際、牝馬をおとなしくさせるために用いることもある。
馬主(ばぬし)
競走馬の所有者。オーナーとも言う。馬にかかる費用の全てを負担し、レースに出走させ、入着賞金や手当金を受ける。所有馬を出走させるたねには馬主登録が必要となる。
馬場状態(ばばじょうたい)
馬場の状態は水分の含有量によって、『良』『稍重』『重』『不良』の4つに分けられて発表されている。芝、ダートに関わらず馬の能力発揮に重要な意味をもつもので、勝ち馬検討の上では常に注意が必要。「重が下手」という馬はけっこういるが、足先の濡れるのを嫌う馬もいれば、滑る馬場が苦手な馬もいるし、また力の要る脚抜きの悪い馬場を嫌う馬など一様ではない。雨馬場は重、不良などの状態で水が浮いている、または雨が降り続いた時の馬場。渋い馬場といえば稍重から重程度の多少湿っている馬場のこと。またパンパン馬場というのはパンパンに乾いている馬場ということで、速い時計のでる良馬場のことである。
馬銜(はみ)
馬に噛ませる棒状の金具で、騎乗者はこれにつけた手綱を通して馬を御している。人と馬との意思交流の接点ともいえるもので、馬が軽く柔らかくはみとの接触を口の中に感じた状態を「はみを受ける」という。このはみ受けのいい状態を「はみにかかった」といっている。
馬名(ばめい)
競走馬には必ず名前がつけられ、これを馬名というが、どんな名前をつけてよいというものでなく、次のような制限がつけられている。(1)有名な馬の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名 (2)父母の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名 (3)すでに登録を受けている馬名、登録を抹消されてから5年を経過しない馬名と同じ馬名、またはこれらと紛らわしい馬名 (4)奇きょうな馬名 (5)明らかに営利のための宣伝広告を目的として、会社名、商品名などと同じである名称を付したと認められ、かつ競走馬の馬名としてふさわしくない馬名 (6)10字以上の馬名。いったん登録した馬名は原則として変更できないが、競馬会が開催する競馬、地方競馬および外国の競馬のいずれの競走にも出走したことのない馬については、1回に限り、馬名を変更することができる。
腹帯(はらおび)
鞍の付属具で馬の胸に回して締める帯。これがゆるむと鞍ずれの原因になるが、強く締めすぎると能力に影響して走れなくなることもある。鞍の保定には一本の腹帯では破損した場合危険であり、鞍ずれも起こしやすいのでその防止のため鞍の上から腹帯の上にもう一本の帯を締める。これを上腹(うわばら)という。また馬の腹帯を締める場所を帯道(おびみち)といっている。
馬齢重量(ばれいじゅうりょう)
馬齢とは馬の年齢のこと。競走馬の背負う基本的な重量で競馬施行規定の56条に定められている。
 ▼平地競走では−。
  2歳10月まで 53kg、牝馬 53kg
  2歳11、12月 54kg、牝馬 53kg
  3歳     55kg、牝馬 53kg
  4歳5月まで 56kg、牝馬 54kg
  4歳6月から
  5歳8月まで 57kg、牝馬 55kg
  5歳9月以降 56kg、牝馬 54kg
 ▼障害競走では−。
  3歳     57kg、牝馬 55kg
  4歳5月まで 58kg、牝馬 56kg
  4歳6月以降 59kg、牝馬 57kg
 となっている。この馬齢重量によるレースを馬齢戦(ばれいせん)といい、一般条件戦では見習騎手に減量の恩典が与えられるレースである。
ハロン
距離の単位Furlong(ファロング)から来た和製英語。本来は8分の1マイル(201.17m)のことだが、日本では200mを1ハロンとしている。200mの平均速度をハロンタイムといい、距離の違った競走を比較するときに利用される。またゴールから手前に200mごとに立てられている棒をハロン棒といい、騎乗者はこれによってゴールまでの距離が分かる。競走においても調教でも位置や速度の目安となり、ペース配分やスパートのタイミングを図る一助としている。
輓曳競馬(ばんえいけいば)
輓馬が重いそりを曳いて二つの山(障害)のある走路(200m)を走る競走。現在は北海道の地方競馬でのみ行われている。
パンク
馬が脚部を痛めて故障すること。馬の脚を車の脚回り(タイヤ)になぞらえて言われるようになった。
バンケット
坂のことだが単に傾斜のあるところという意味でなく、障害コースにおける上がり下がりの急勾配の坂のこと。中山の谷は有名だし、福島の小さな丘になっているバンケットも個性的だ。
バンジツ
交突(自身の左右の肢をぶっつける)する馬に用いるもので、肢の腱などを保護するため管部に巻く布製のバンデージのこと。日本語では肢巻(しかまき)という。
繁殖牝馬(はんしょくひんば)
肌馬と同じ。仔馬をとるための牝馬のことで、競走馬として能力を出し切った馬、限界にきていると思われる馬、また血統が良くて早く仔馬を欲しい牝馬などは牧場に上がって繁殖牝馬となる。馬主が売却せず牧場に預けて仔馬をとることを仔分けという。
ハンデキャップ
一般にはハンデといわれているもので、ハンデキャップ競走における負担重量を指す場合が多い。ハンデ戦は優勝劣敗の競走原理には反するものだが、各馬の機会均等化をはかるもので、ゴール前横一線になるように馬の能力、状態に応じて負担重量を増減して戦う競走である。中央競馬のハンデキャップの事務は、ハンデキャップ作成委員(当該開催に3名以上)が担当し、普通は月曜日(日曜日に特別登録のある場合)にハンデが決められ発表される。また、ハンデ戦に登録できる資格として、そのレース以前の一定の期間内に1回以上出走していることが必要と定められている。これは馬の状態の判断がしやすいことと、近い成績を基準にすることで、より公正なハンデがつけられるからである。こういった条件を逆用して、目標のハンデ戦の前のレースで勝ち負けを度外視して馬の調整に使うことをハンデもらい(成績が上がらずハンデが軽くなることがある)などという。
坂路(はんろ)
調教コースのひとつで、路盤はウッドチップで上り坂になっているもの。美浦、栗東の両トレーニングセンターに設置されているが、栗東は全長1085m、高低差32m。美浦は全長800m、高低差17mと異なっている。馬の鍛錬に効果があるということで、育成牧場などでも坂路コースを造っているところも多い。

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曳き運動(ひきうんどう)
厩務員などが馬を引っぱって運動させること。乗り運動と同じように競走馬にとって欠かすことの出来ないトレーニングのひとつで、朝の乗り運動や調教の前後、また午後の乗り運動の前後など休みの日以外は毎日行われている。準備運動、整理運動として曳き運動は行われるが、歩様を観察することも目的の一つで、脚部不安の早期発見につながる。
引き返し(ひきかえし)
矯正馬具のひとつで、マルタンガールといわれるもの。腹帯からハミを通じ、手綱につながっている装具で、また綱ともいわれる。騎手の意志に反して暴走したり頭を上げる悪癖のある馬にその癖を出させないために使うもの。一般に頭が高いといわれる馬に用いられている。
引っかかる
騎手が抑えてもいうことをきかず突っかかるように行きたがる状態をいう。騎手と馬が折り合っていない走りっぷりで、レースでこういう状態になると能力に影響することが多い。
鼻出血(びしゅっけつ)
競走馬は競走中に鼻出血をすることがあるが、その原因は学問的にはまだはっきりしないと言われている。馬は口で呼吸できないため鼻出血を発症すると呼吸が十分出来なくなり競走能力を発揮できず大敗することも多い。鼻出血は習慣性になりやすいため、はじめて鼻出血した馬は1カ月、2回目の馬は2カ月、3回目以上の馬は3カ月間出走できないこととなっている。もっともゲートにぶっつけたりした外傷性の鼻出血はこの限りでない。
蹄(ひづめ)
馬の球節の下で人間の中指1本に当たり、外見爪のようにみえる部位をいう。昔から「蹄なければ馬なし」といわれているように、蹄は馬体を支える基礎であり、運動上もっとも大切な部分である。したがって削蹄、装蹄、また蹄の手入れの良否が、直接、間接に馬の能力に大きな影響を及ぼすものであり、厩舎関係者は裂蹄や蹄の病気にかからないよう、蹄の良好な状態を保つため注意している。蹄鉄は、この蹄の摩耗を防ぐために着けられている。
ひも
連対馬のことで、2着にくる馬、あるいは本命馬にくっついてくる馬をいう。「ひも探し」「ひもに狙える」「ひもが狂った」など2着馬という意味で使われている。
平場(ひらば)
一般競走のことで、特別レース以外の条件戦をいう。同じ条件レースでも特別レースに比べ賞金も安いし、メンバーも手薄ということで格下のレースと見られがちである。
牝系統(ひんけいとう)
母馬の血統の総称を母系、牝系、あるいは牝系統といっている。「この馬の牝系は○号族」だとか「この馬の母系には○○○○(有名種牡馬)の血が入っている」などと母馬の血筋を表すときに使われる。この牝系統を系図のようにまとめたものが“ファミリー・テーブル”で、牝系統別にまとめ成績、生年等を付記し根幹馬までたどったもので、牝系を調べるのに大変便利な書物である。

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ファミリー・ナンバー
オーストラリア人のブルース・ロウという人が19世紀の終わり頃、それ以前におけるイギリスのダービー、オークス、セントレジャーの勝ち馬について、その母系をイギリスの血統書の第1巻までたどり、勝ち馬を多く出した母系の順に第1番から43番までの番号をつけた。これがファミリー・ナンバーで、血統表の一番下の右端に普通かっこ内に入れ、それを示している。その後アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどの大レースを勝ちながら前記の順番までのファミリーに含まれないものも出てきたので、この番号は更に追加されている。作られた当時は番号の若い者ほど優秀とされていたが、現在では若いナンバーが上級ファミリーといえないことは常識となっており、母系を整理、分類する際の索引番号として便利なため、そのまま使用されている。
付加賞(ふかしょう)
特別登録料の総額を、1着から3着の馬に対し7:2:1の割合で配分した賞金。中央競馬の特別競走は定められた登録料を徴収する、つまりステークス制になっていることで発生する賞金のことである。地方競馬にはこの制度はない。
複勝(ふくしょう)
複勝式勝ち馬投票券のことで、出走頭数が5頭から7頭立ての競馬では2着まで、8頭立て以上では3着までを勝ち馬として払い戻しされる馬券。配当は低くなるが的中率が高いため固定のファンもいる。なお、4頭以下のレースではこの複勝は発売されない。
服色(ふくしょく)
レースの時騎手が着用する服(勝負服)の色(模様を含む)のこと。色は規定内の13色で表示(デザイン)は輪、一文字、帯、山形(ひし山形、なこぎり山形)、たすき、縦じま、格子じま、元禄、ダイヤモンド、うろこ、かすり(井桁絣)、玉あられ、星ちらし、銭形ちらし等で、一般に4色以上の使用は認められていない。馬主は服色を登録して自分の服色で持ち馬を出走させている。また地方競馬においては騎手が各自服色を決めており、いつも自分の服色の勝負服でレースに臨んでいる。
ふくれる
コーナーを回るときコースなりに回れず、外側に飛んでいくこと。手前を替えられないことや気性の悪さなどが原因でふくれることが多いが、距離損が大きくレース中の不利のひとつになる。
ふけ
牝馬が発情することをいう。神経質な馬はふけにはいると競走能力が低下するといわれているが、かなり個体差はあるようだ。春先から夏にかけてがふけのシーズンで、普通は3週間おきに5、6日間続く。ふけの期間が長かったり、冬に発情したりする場合“だらぶけ”といってる。
負担重量(ふたんじゅうりょう)
競走馬の背負う重量のことで、騎手の体重、鞍、鞍下の毛布、鉛などの装具(ヘルメット、ステッキは除く)まで含む。負担重量は馬の年齢と性別によって規定されている馬齢重量、ハンデキャップ委員がどの馬にも勝つチャンスを与えるように決めたハンデキャップ重量、馬の年齢、性、収得賞金の額、勝利度数その他競馬番組で定める条件により算出する別定重量などがある。
ぶち毛
馬の毛色の種類で、体に大きな白斑のあるものをいう。原毛色により、栗ぶち毛、鹿ぶち毛などと呼ぶ。また、白色部が有色部より多い場合はぶち栗毛、ぶち鹿毛といっている。わが国ではポニーなどに見られる毛色である。
ブックメーカー
勝ち馬投票方式にはパリミューチュエル方式とブックメーキング方式がある。パリミューチュエル方式はわが国やアメリカで行われている馬券の発売方法で、一定機関が不特定多数の客に売り、定められた比率で控除した残金を配分(払い戻し)する。一方のブックメーキング方式はイギリスの競馬などで見られるもので、ブックメーカー(公認馬券取扱業者)と客との間で決められたオッズ(賭け率)に応じて配当(払戻金)を受け取る方法。したがって、各馬のオッズはブックメーカーによって一致するとは限らないし、最新の情報などによって刻々変動することもあるが、客は買った時点のオッズによって払い戻しされる。ブックメーカーが営業の対象とする賭は競馬だけでなく、サッカー、テニス、等スポーツはもちろんのこと、ミスコンテストなど結果が明らかとなる社会現象まで多岐にわたっている。
太目(ふとめ)
「馬体が太目」あるいは「太目造り」などと使われるが、きりっと締まった仕上がった馬体に対し、外見上ひと回り太い状態の馬体を指す。「太目を叩いて……」という言葉もあるように休養明けのレースや、目標の前のレースなどでは太目の馬体で出走してくることもあるので注意したい。
ふなゆすり
馬の癖のひとつ熊癖(ゆうへき)のこと。馬房の中で前肢を開き、左右交互に体重をかけ、間断なく体をゆする癖。熊がおりの中で体を左右にゆすっている状態に似ていることから、また舟をこぐ様に似ていることからこの俗称がある。前肢の腱に悪い影響を与えるおそれがあり、嫌われることも多い。
踏み込み
パドック解説などで「この馬は踏み込みが……」とよく使われる言葉で、後肢の歩幅のこと。前肢が踏んだ跡より前に後肢が着地するようなとき踏み込みが良いといわれ、調子を判断する上でのひとつの目安になっている。踏み込みがよいことを“踏み込みが深い”ともいう。
冬毛(ふゆげ)
体毛の中で被毛といわれる全身に密生している短くて細い毛は、秋から冬にかけて長くなり光沢を失い春になって脱落する。これが冬毛であり、毛が脱け換わることを換毛という。馬の場合年2回の脱換が普通で、夏毛は年間を通じて適宣更新するが、冬毛は秋から冬にかけて生え、陽春から晩春にかけて脱け換わる。被毛の脱換の遅速は健康状態と密接な関係にあり、同一の馬でも一様に脱け換わるわけでない。栄養が良く健康な馬は脱け換わりも早い。
ブリンカー
遮眼革といわれるもので、前の方しか見えないように作られた革製の装具。競走中に物見をしたりして気を抜く馬に使用する。(遮眼革の項参照)ブリンカーを着けて出走する馬は出馬登録の際、騎手などとともに併記することになっている。本紙ではブリンカーを装着する馬には予想欄に「ブリンカー」と記している。また、はじめてブリンカーを着けるときにはこの「ブリンカー」の文字が太字になりひと目で分かるようになっている。ブリンカーを着けて走ったとき成績欄の斤量の後に「B」と記している。ブリンカーを着けたり外したりすることで成績に影響する馬も多いので、勝ち馬検討には欠かせない材料のひとつとなっている。
フリー騎手
通常、騎手は特定の調教師と騎乗契約(契約期間、給与、進上金など)を結んでいる。この騎乗契約を結んでいない騎手をフリー騎手という。契約騎手の場合は特定厩舎の専属騎手となりその厩舎の馬に騎乗する機会が与えられるが、その厩舎の調教騎乗要員にもなっている。フリー騎手はレースでの騎乗はもちろんのこと、調教の騎乗も個別に約束を交わし騎乗する。
フリーハンデ
競走馬の格付けのため距離、競走日時、場所など具体的な競争条件に関係なく定められたハンデキャップのこと。競走馬の能力の物差しのひとつとして一般に利用されている。英国はじめ諸外国でも採用されている制度で、中央競馬会では毎年1月に前年度の成績に基づいてフリーハンデが“優駿”誌上で発表されている。本誌では評論家の山野浩一氏を中心にしたスタッフで地方馬、日本で出走した外国馬を含む全日本フリーハンデとして上半期分を7月に、年度分を1月に2歳、3歳、古馬などに分けて毎年発表している。
ブルードメアサイアー
母馬の父のこと。ブルードメアは繁殖牝馬、サイアーは種牡馬のこと。たとえば、平成10年のダービー馬スペシャルウィークの母はキャンペンガールで、その父マルゼンスキーがスペシャルウィークのブルードメアサイアーということになる。体形や性格など父からの影響が大きいのは当然だが、このブルードメアサイアーからの影響を受け継ぐこともあり、馬の資質を探る上で重要視される。
フレグモーネ
皮下結合組織の少ない部分に発した急性の化膿症である。化膿を起こす細菌は外傷したところから入ることが多いが、外傷がなくても毛孔から感染を起こすこともある。病勢のテンポはごく速く、一夜のうちに肢が腫れあがってしまうこともある。手当の時機を失すると、いろいろの病気を併発し、競走馬として走れなくなることもあり、早期発見、早期治療が肝腎である。
分割(ぶんかつ)レース
競走の分割については一般事項のⅣの2に定められており、要約すると−。競走の取りやめがあり、かつ、一般競走で出馬投票の結果、その競走の条件より下級条件馬を含めないで16頭以上の申し込み馬があった場合、申し込み頭数の最も多い1競走を2競走に分割して行う。ただし、同一条件の競走(特別競走を含む)が2つ以上あって、そのいずれかの競走に申し込み馬が7頭以下のときは分割はしない。また、申し込み頭数が同数である競走が2つ以上ある時はその優先順位が決められている。
この他にも申し込み馬に不適当な馬がいないかどうか獣医が診断するとか、交替騎手の取り扱い、分割の方法などが定められている。また最後の条項には競走の分割は、実施の結果を考慮して随時廃止することがある。と規定されている。

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併走(へいそう)
2頭以上の馬が並んで走ること。併せ馬(あわせうま)の項参照。
平地(へいち)競走
障害競走に対して普通の競走を平地競走といっている。以前はトロッターによる繋駕速歩競走が平地競走と区別されていたが、昭和43年に廃止となっている。障害競走も盛り上がりがなく先細りの感じで、今は平地競走の全盛といえる。また、平場(ひらば)というのも同じ意味に使われることもあるが、これは特別レースに対し一般条件レースをさす場合が多い。
別定(べってい)重量
馬齢、性、収得賞金、勝利度数などによって算出される負担重量をいう。現在中央競馬で行われている別定重量には次の二つがある。(1)基礎重量を定め、これに過去の収得賞金、勝利度数、あるいは特定の競走の勝利によって加増する方法と、(2)牝、牡の間だけに差をもうけるが、全馬に一定の重量を負担させるものとがある。(1)は上位馬が下位馬より一定の条件にしたがって、自動的に重い重量を負担する仕組みで、オープン、勝ち入り競走などの一部の一般競走と大部分の特別競走(ハンデ戦を除く)及び重賞競走に採用されている。(2)は普通定量といわれるもので、優勝劣敗の原理が根底にある。この定量制は2歳の重賞の一部、3歳のクラシック競走及び秋華賞とそのトライアル競走、天皇賞、有馬記念、ジャパンカップなど重賞競走の根幹レースに採用されている。
ペース配分(はいぶん)
競走馬がスタートからゴールまで一定の速度で走ることは出来ないし、またする必要もない。勝つためにどの部分(前半とか後半とか)をどのくらいのペースで走らせるか、またどこでスパートをかけるかなど力の出し方の配分をいう。レースにおけるペースについては「このレースは速い(遅い)」とよくいわれるが、これはペースメーカーといわれる逃げ馬の速度が速いか遅いかということで、レースの流れともいわれる。ペースの遅速によって、異なった脚質の馬が有利になり、勝ち馬を推理する上では第一に考えなければならない。
返還金(へんかんきん)
勝ち馬投票券が発売された後、競走から除外された馬があった場合、その馬の単勝式、複勝式及び馬番連勝式ではその馬の組み合わせの投票券のすべてが、同額で投票者に返還金として返される。枠番連勝式でも1枠1頭の場合は馬番連勝式と同じだが、同枠に出走馬がいて枠が存在する場合は返還されない。このことを馬券の買い戻しともいう。

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帽色(ぼうしょく)
騎手がレースの時かぶるヘルメットの色のことで、枠順が分かりやすいようにそれぞれ1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃と決められている。また同枠に同馬主の馬が入った場合外側の騎手は染分け帽(1枠は白と水色、他は枠の色と白の四つ割り染分け)をかぶる。
法人馬主(ほうじんばぬし)
会社組織(会員を集めているクラブなど)の馬主のことで、馬主を個人馬主と区別するときに用いられる。
放馬(ほうば)
競馬場やトレセンで騎手を振り落として逸走してしまうこと。競走当日においては返し馬のとき極度に興奮した馬が起こすことが多く、競走能力に影響することもある。
放牧(ほうぼく)
通常競走馬はトレセンで生活しているが、牧場に帰すことを放牧という。足元の故障などで治療のためのこともあるが、レースを使い込んで疲れがたまったときなどにリフレッシュのために出されることも多くなったし、暑さに弱いサラブレッドなので、夏場涼しい北海道でひと息入れる馬も多い。厳しい鍛錬から解放されてリラックスする効果は大きく、放牧から帰って変身する馬もいる。また、放牧から帰っての緒戦を放牧明け(のレース)という。
ポケット
「ポケットからの発走」などと使われるように競馬場のコーナーの奥まった場所をさす。例えば京都の2400mの発走地点は4コーナーのポケットからだし、東京の2000mは2コーナーのポケットということになる。またレース中に「ポケットに入って…」などということもあるが、これは馬込みに入って出るに出られない状況で脚を余すことにつながる。多頭数のレースなどではしばしばこんなケースが起こり、力を出し切れず敗れる馬がいるものだ。
保護帽(ほごぼう)
安全ヘルメットともいう。騎手はレースや調教のとき、また調教師、調教助手、騎手候補者など馬場調教をする者はヘルメットを使用(落馬に際して頭部の負傷を防ぐため)が義務づけられている。
細目(ほそめ)
単に「細い」ということの方が多いが、太目に対する逆の言葉で、見た目に馬体が細く映り、腹部の線が後ろにゆくにしたがって切れ上がりすぎているような状態。馬体重が使うごとに減るようなとき「細化する」というが、細目というときは数字的なものでなく見た感じ細いというもの。仕上がりきった馬体と紙一重ということもあり見きわめが肝腎。
歩様(ほよう)
馬の歩き方のこと。調子の良い馬は歩様がスムーズで伸びやかだが、どこかに故障や疾患を持つ馬、疲れがたまっている馬など歩様に乱れが出ることが多い。
ボロ
馬糞のこと。ボロの状態によって馬の健康状態をある程度チェック出来る。ボロは軟らかいのは良くなく、落ちたときに三つ四つに割れるくらいの硬さが良い状態だといわれている。パドックなどでボロをする馬もいるが「ウンを落とす」といって嫌う人もいる。
本格化(ほんかくか)
成長と共に馬体が充実して脚力が増したり、精神力が付いて引っかからなくなったりと目に見えて競走能力が向上し、その能力を発揮できる状態になった様をさす。
調教やレースにおいてそれまでになく良い動きを見せると「いよいよ本格化か」などと期待を込めていう。
本賞金(ほんしょうきん)
1着から5着までの馬主に対して、競馬会から交付される本来の賞金のこと。出走奨励金、距離割増賞、父内国産馬奨励賞、特別レースにおける付加賞などは含まないものである。
本馬場(ほんばば)
実際に競馬の行われる馬場という意味で、芝コースをさす。ローカル競馬では現在も新馬戦などのため本馬場での調教を行うこともあるが、これを本馬場調教(本馬場追い)という。中央場所の場合は関東は美浦、関西は栗東のトレセンで調教が行われ、競馬場の本馬場が開くことは少ない。美浦では南のCコース、栗東ではDコースが芝のコースになっており、そこで追うことも本馬場追いといっている。
本番(ほんばん)
クラシックレースをはじめ天皇賞などの目標にする大レースを前哨戦時、またレースの前などに「本番で……」という使い方をする。最近は賞金も高くなりどのレースも目一杯のレースをする馬が多くなっているが、以前は「本番前のひと叩き」などという言葉も使われていたように前哨戦では意識的に余裕を持って馬体を造り、目標の大レースに向かった馬もいたものだ。
本命馬(ほんめいば)
そのレースにおける優勝候補で、メンバー中一番強いと思われている馬。予想紙の上では◎印で表示されている。中央競馬では現在馬券の主流が連勝複式になっているため、2着までにくる確率の高い馬に◎印が付けられることもある。
ホームストレッチ
最後の直線コースのこと。直線の長さは競馬場によって異なり、東京競馬場の芝コースが507mと一番長く、その他の競馬場は250mから400mぐらいである。

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